日銀本店、東京駅などを設計建設した辰野金吾(画像掲載元:wikipedia)
レンガ積の歴史は大変古く、インダス文明の下水道や秦の好皇帝の時代の万里の長城にも使われております。
本物の外壁にレンガを積んでいるものとしては、イギリスに中世の頃の建物が現存しております。レンガ壁は時がたてば本物の良さがいっそう際立ち、風格が出てまいります。
日本にレンガの製造技術が伝わったのは、やはり明治時代初期の文明開化の頃です。レンガの耐火性の高さが注目されて、当時は赤レンガの建物が多く建ち並び、現在でも辰野金吾がイギリス留学から帰ってドイツ人技師フランツ・バルツアーの後を継いで設計した、「赤レンガの東京駅」が人目を引いておりました。
明治期の北海道庁舎(画像掲載元:wikipedia)
また、横浜の赤レンガ倉庫は明治末期から大正初期に、国の模範倉庫として建てられた歴史的な建造物であります。そして時は若干前後しますが、明治24年竣工の北海道庁旧本庁舎(赤レンガ庁舎)はアメリカ風ネオバロック様式の建造物であり、国の重要文化財に指定されております。
この様な建物の雰囲気を今時の戸建て住宅にオーバーラップさせると違和感がありますが、逆に意匠をシンプルにし、白レンガで窓周りにアクセントを付けるなどのデザインを施せば、懐古の趣のある赤レンガの建物となり、注目を集めることになります。
Q1
レンガの耐久性は何年くらい?
▼
A:通常の壁は20年ぐらいの耐久性に対し、レンガは陶器等と同じ焼き物なので、ほぼ半永久的です。従来のモルタル外壁では8~10年でヒビ割れや汚れで塗装が必要になり費用は100万以上かかります。レンガはその点メンテナンスは必要ありません。
Q2
ブリックってなに?
▼
A:レンガのことを英語でブリック(brick)と呼びます。舗装に使われるのをペービング・ブリック(paving brick)、壁仕上げ用をフェーシング・ブリック(facing brick)、下地用をコモン・ブリック(common brick)等と使い分けます。
Q3
レンガとタイルはどう違うの?
▼
A:レンガとタイルは、土や石を主原料とし、高温で焼成して仕上げるところは同じです。タイルは貼るのが基本なので曲げに強く、レンガは積み重ねるので圧縮に強いのが特徴です。そのため、タイルは比較的均質なものや、表面に釉薬を掛けたものが多く、レンガの方が焼きムラ等の変化の幅が多いのが特徴です。
Q4
レンガに似たものがあるけど?
▼
A:日本で多く見られるレンガ(タイル)調のサイディングは、繊維等で補強したセメントボードの表面に、凹凸をつけ塗装したものがほとんどです。似ているのは表面の見かけだけで、まったくの別物です。
Q5
レンガにも種類はあるの?
▼
A:レンガは同じ色の中でも製造の過程での「材料の調合」、「焼き上げ温度」、「灰などの付着」などによって「個性」が発生します。さまざまな個性の寄り集まりによって、レンガ独特の雰囲気が醸し出されるのです。また産地、工場によっても違い様々なバリエーションが豊富になっています。
Q6
地震にレンガは弱いと聞いたけど?
▼
A:関東大震災では倒壊が目立ち、阪神、淡路大震災では壊れなかったレンガ造りの家。2つの震災では時代により工法と耐震性に違いがあります。従来の工法は、中実積工法といい、レンガと躯体の中控部をモルタルで充填する工法が主流でした。その為、地震や熱による膨張が起きた際にそれぞれ異なった動きをする為、損傷が大きいという問題がありました。現在では建物躯体と離しステンレス金物を縦横に入れて積み上げるレンガ積工法は、建物躯体と離れている為、建物躯体から構造的外力を受けない構造になっています。
Q7
レンガの手入れはどうするの?
▼
A:特別な手入れは要りません。ホコリや藻が付着することはありますが、塗装とは異なり「汚れ」とは見えないのも特徴です。月日の経過とともに味わい深く、むしろ飽きることのない風格を増していきます。
Q8
レンガは地球環境に優しいの?
▼
A:レンガは耐久性が高いので、半永久的に使用できます。また、建物・外壁を解体後でも、再使用が可能です。また、製造・施工の段階でも接着剤や塗料をほとんど使用しないので、作業者や近隣の住宅に対しても安全で安心です。処分するとしても粉砕する事により土に還ります。
1個性
多種多様なレンガを使うため、本格的で個性豊かな家が創造できます。
2和み
レンガは粘土を約1200度で焼いている為、焼き物の自然力で心が落ち着き和みます。
3断熱
レンガ積の家は夏は涼しく、冬は暖かく断熱性が高いので、省エネ効果が期待できます。
4防火
焼き物ですから当然燃えません。火災保険もお安くなります。
5遮音
遮音性が高いため、騒音から守られたり、室内犬の鳴き声などが漏れにくいです。
6永久
通常の壁は20年程度で手入れが必要ですが、レンガ壁は半永久的です。
1
レンガ積パターン
▼
長手積
長手を見せて積む
小口積
小口を表に見せて積む
モンク積
きまりにとらわれないでランダムに積む
イギリス積
長手の層と小口の層の繰り返し。七五追い出し
イギリス積
長手の層と小口の層の繰り返し。長手追い出し
交差イギリス積
長手、長手と続く層と長手、小口、長手と続く層の繰り返し
フランス積
長手、小口を一つの層で繰り返す。七五追い出し
フランス積
長手、小口を一つの層で繰り返す。長手追い出し
ヨークシャー積
長手二つ小口一つの繰り返し
アメリカ積
長手5段くらいに小口1段を繰り返す
クェッタ積
小端のフランス積
透し積
フランス積の小口、或いは小口、長手、小口を透かせて積む
2
レンガ目地
▼
3
レンガ敷パターン
▼
馬ふみ
網代パターン1
網代パターン2
市松
イモ
コンビネーション